私は、あっかるいなぁ。
今朝、お掃除をしながら、不意に、そしてつくづくそう思った。
けっこう厳しい状況でも、なぜだかすぐに楽しいことを思いついて、一人でワクワクしたりする。
こんな状態なのに、ワクワクしている自分に気がついて、なかばあきれながら、「キミは明るいねえ」と、他人事みたいに言うのです。少し離れた所から私を見ている、もう一人の私が。

どうしてなのか、ちょっと考えてみた。

意外かも知れないけれど、私はすぐに落ち込む。
少しショックなことがあると、いとも簡単に、子どものように悲しんだり残念がったりする。

落ち込んでいる私を、もう一人の私が見ている。
見守っている、といったほうが、いいかもしれない。

要は、自分の心の動きを見つめているわけなのです。

これはまさに坐禅の際に指導されること。
「呼吸を数えながら、あれこれ雑念が浮かんでは消える、その心の様子を見つめなさい」
そんなふうに老師は仰る。

いつの間にか、それが癖になったのだと思う。
心を見つめているということは、自分の状態を把握しているので、暴走することがない。
大河が決壊するがごとく、感情が大暴れすることがないのです。

そのうち、空に垂れ込めていた暗雲が流れていくように、心が安心を取り戻していく。

暗雲が流れるのを見つめながら思うことは

「まあ、こんなこともある。しょうがない。でも、なるようになる。今までだって、なるようになってきた。結局、それに尽きる」

溜息もたくさんつく。

その溜息が、もしかしたら、暗雲を流す風になっているのかも知れない。
だから、我慢しないで、出るがままに溜息をつく。


我慢しない、といえば、私はすぐに弱音を吐く。

昨日も、姉と兄、それぞれに電話をした。私はかなり年の離れた末の妹で、どんなに年を取っても「小さい妹」という意識が消えないのか、姉も兄も、とても私に優しい。というより、甘いといっていい。

お姉ちゃん(お兄ちゃん)、こんなことになっちゃってるのよぅ。

私の泣き言に、兄も姉もすぐに同情して心配して、あれやこれやとアドバイスしてくれたり、具体的に助けてくれたりする。

お互いにソウルメイトだと思っている男友達とも喋った。

「でも、負けるもんかって思ってるのよ」

ソウルメイトでも、友達の場合は、ちょっと強がる。でも、それがまた効果的なようで、私はどんどん「整って、成って」いく。

ここでまた禅の話。
これは禅僧ではなく、禅僧並みのハンパじゃない修行をした、行徳先生がよくおっしゃること。
「いま泣いたカラスがもう笑った。これが禅ですよ」

カラスというのは、実際には赤ちゃんのことをいう。
赤ちゃんは、ぐずぐずと鳴き出しても、だっこしてあやしたら、すぐに笑い出す。

これこそが禅だ、というわけです。つまり、悲しみだとか怒りだとか、その時々の感情にまったくとらわれていない。
空(くう)そのもので、ゆえに、どこまでも自由自在でいられる。

禅僧ではないけれど、薬師寺の高田好胤(たかだこういん)管主は、
般若心経をこんなふうに説いた。

     かたよらない こころ  こだわらない こころ
     とらわれない こころ   ひろく ひろく
            もっと ひろく
      これが般若心経   空のこころなり

いやあ、いいなぁ。毎朝、お香を焚いて般若心経をお唱えしているけれど、
本当に心が落ち着く。背筋が伸びる。
これも功を奏しているのかも知れない。

毎日、ユーツなニュースが怒濤のように流れているようだけれど、
こういう時は、スマホを見るより空を見上げたり、あたりの風景をボーッと眺める時間を設けてみて欲しい。

とにかく情報を逃さないようにしなきゃ!!

という意識が働いて、スマホに釘付けになってしまうのかも知れないけれど、それこそ、「かたより、こだわり、とらわれ」に他ならない。

ひろくひろく、もっとひろく、・・・今日の空が晴れ渡っているように、きっと心の雲も流れ去っていく。

春のお彼岸を前に、太陽の角度がどんどん変わってきている。
今朝の暁光は、とても力強かった。

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光はまっすぐに部屋を貫いて、ちょうど真西にある床の間を照らした。
しかも、そこには・・・お札がおいてあるのです。
まばゆいばかりの光は、迷うことなく、ふたつ並んだお札を照らし出した。

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北口冨士浅間神社の冨士浅間大神 と、新屋山神社の大山祇大神。


画像3

こういうことに、勇気づけられる。

嫌なことがあったら、落ち込んだらいい。落ち込んだ心を見つめて、流していこう。
日本人は「水に流す」民族。まさしく「かたよらない、とらわれない、こだわらない」、自由自在の「空」を抱いているということ。
安心して、悲しんだり、怒ったり、落ち込んだりして、そして、すべて流して、最後には笑おう。

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