その文章に「心」はあるか

文章を書いても、いまひとつ伝わっていると感じられない。
どうすれば伝わる文章を書けるのか、わからない。

このように感じている人へ、私は問いかけたいことがあります。

それが、

その文章に「心」はありますか?

ということです。

もっといえば、
どんな言葉を使えば注目されるか、ということも含めて、技法にばかり意識が向いていませんか?
ということであり、

さらには、
「他者を自分の思い通りに動かしたい」というコントロール欲がありませんか?
ということでもあります。

いきなり耳が痛い言葉かも知れませんね。

けれど、世の中にあふれかえっている文章の大半に私はそれを感じるのです。
そして、それを感じる度に、淋しく哀しい気持ちになります。

書いた人にしてみたら、これは思いも寄らない反応ですよね。
求めているのと、真逆の結果を導いているといってもいいでしょう。

そして、私のような反応は、言葉に出来ずとも多くの人に起きていると考えます。
誰も何も言わないけれど、「素晴らしい文章」であるにもかかわらず、そこまで心に響いてこないとどこかで思っている可能性はおおいにあります。
ただ、そんな想いが一瞬かすめたと思ったら、もう次の情報へと目も心も移っているから、言語化するヒマもないだけのことでしょう。

デジタル化が進む中、言葉が可能性を持ち始めた

2021年に出版した拙著『武士の娘の思考法』(海竜社)で、私は

「AI時代は愛の時代」だと提唱しました。少し引用してみましょう。

「感動」という言葉がありますが
人は心に感じたときに動くものです。
なんて素晴らしいんだろう!と感動したとき、
この人の優しさは本物だと打ち震えるような感動を抱いたとき、
気づけば行動に繋がっていたという経験がありませんか?
AI時代は「愛の時代」と私は認識しています。
人でも、商品でも、サービスでも、
すべてそこに愛があるかどうかが、
大きな価値基準になるでしょう。

人が動くのは何か心に感じた時。
AI時代は「愛の時代」としましたが、「心の時代」とも言うことが出来ます。

これは私の、揺るぎない見解であり確信です。

さらに、つい先日のことですが、世界的に知られるクリエイターの細田高広氏が、これから人の心を動かすのはスペック(価格や性能など)ではなく「言葉」であると語っているのを目の当たりにしました。
細田氏はこれまでにカンヌ金賞、NY ADCグランプリ、CLIOグランプリ、Spikes Asiaグランプリ、ACCグランプリ、クリエイター・オブ・ザ・イヤーメダリストなど国内外の名誉ある賞を数多く受賞し、2015年と2018年、2度にわたりCampaign誌のCreative Person of the Yearに、2020年にはCampaign誌の40 under 40(アジアの広告業界を代表する40歳以下の40人)に選出されたという経歴の持ち主です。

最先端にいる人が「心」を語っている例は他にもあります。私が衝撃を受けたのは中国を代表するIT起業アリババのCEOが信頼について述べていたこと。あるいは、インスタグラム初代日本事業責任者である長瀬次英氏が「熱量」が大事だと述べていたこと。
「愛」「心」「信頼」「熱量」・・・
いずれも「目には見えない領域」というところで共通しています。

それを、文章なり言葉なりに載せることが出来ているのかどうか。

これが極めて重要な課題になってくるのは、もうおわかりでしょう。

その文章に心が感じられたら
その文章に愛が感じられたら
その文章に信頼を見いだせたら
その文章に熱量が感じられたら

その時、はじめて人は心を動かされ、次に体が動き出すわけです。

仕事で文章を使うのであれば、提供するモノやサービスの購入・申込みに繋げていくことが出来る可能性が出てくるし、
文化的活動であれば、多くの人と想いを共有し感動を共にするという体験に繋がります。

【本気の文章講座】が目指したもの、実現したこと

昨年(2022年)5月、私にとって初めての文章講座【本気の文章講座】を立ち上げました。
そこで目指したのは、もっと自由に文章を書き、限りない言葉の可能性を実感していくことでした。

以下は、その時に綴ったものです。

ふと見渡せば、誰もが似たり寄ったりの文章を書いていて
しかも、集客を目的とするなど
本来の「文章の魅力」や「文章の可能性」「文章の力」から
遠く離れている
と感じたのです。

言葉の連なりである文章は
極限の、究極の、シンプルな表現方法です。
と、いうことは、たとえば絵画、あるいは映像
もしくは演劇や音楽といったあらゆる表現のなかで最も自由度が高いことを意味します。
「文章を書く」ということは、世界を創造することです。

ゆえに、「作家になる」とは
創造主になる、神になる、ということなのです。
(私がなかなか作家と名のらなかった理由もここにあります)
その気になれば、どこまでも果てしなく広がっていく文章の世界。

それを知らないなんて、もったいないではないか。

これが、私の正直な気持ちです。
そんなことから、文章講座をやってみようと一念発起しました。
それも、ただの文章ではありません。

もっと洗練された

もっと格調の高い

もっと読む人の心をわしづかみにして話さない


そんな文章を書けるようになるための
ある種の「形」と秘術を伝授いたします。
30年の歳月を掛けて身に染みこませてきた独自の方法は、
当然ながら「文法」などにとどまるものではありません。
なんといっても歴史文化を同時に学んでいるため
編集者や現代作家、コピーライターの中でも、
そうとう独特な構築法となっています。
文章講座を通じて、世界に類の無い「日本語」という言語の美しさを
後世に継承していくことにもなっていくのではないかとも思っています。

この想いに共鳴し、1期では10名の方がご参加くださいました。
そのうち3名はベーシックコースまで、
残り7名はクリエイティブコースまで進み、
本づくりを体験していただきました。

ベーシックコースをご受講くださった3名の方は、
明らかに文章への見方や受け取り方が変わり、
それにより自分の表現そのものが変わったとおっしゃっています。
実際、メールなどをいただいても、文面がまったく以前とは違うので驚きます。
感受性豊かで、しかもわかりやすい文章になったのが印象的でした。

そして、クリエイティブコースといえば・・・
これはもう、言葉できない感動でした。
講座であると同時に、それは「新しい本づくりのスタイル」を実現するプロジェクトだったのです。
七名の作家さんと、私とで、プロジェクトに挑みました。

「作品」として文章を書くことの難しさは、私が一番よくわかっています。
原稿が上がってくるのを待っている間、それぞれの姿が目に浮かぶほどでした。
書いては消して、消してはまた書いて
そこで向き合ったのは、自分自身と、そこに拡がる世界だったのです。

私が行ったことは、それぞれの作家さん達の持ち味を光らせること、これに尽きます。
添削はそのためにあります。
赤字は否定するためのものではなく、その人には見えていない不要な部分を取り除き、伸ばした方が良いところをもっともっと伸ばしていくためにあります。

そして私は、この作業が極めて得意でした。
著者ではなく、責任編集者として、プロデューサーとして、携わることは、私にとっても「新しい自分」を見いだすことに繋がりました。

私たちはまさに、あるひとつの世界を創造したのです。

それが『なないろの記』という一冊となりました。

写真は白河晃子さん撮影。美しい本に仕上がりました。

【本気の文章講座 2期】が始まります

冒頭で述べたように、デジタル化が進む今、「言葉」は、これまで以上に存在感を増してきています。
ChatGPTを私も使用していますが、その性能は素晴らしいものがあります。
実に整然とわかりやすい文章を書いてくれます。感動的なほどに。
そこまで使ったからこそ、「言葉」「文章」が重要だと切実に感じます。

それも、人の書く文章が。

もっといえば、「人が書いた、心のある文章」が重要になるのです。

一年の時を経て、【本気の文章講座】の目指すところは、もはや命題となったように感じています。

よくある「文章講座」「出版講座」とは一線を画すものであることは、ご理解いただけたかと思います。

2期もプレセミナーなど開催いたしますので、気になる方は以下の先行案内ページからお申し込みください。


【本気の文章講座 2期】プレセミナー日程


【日程】

Day1:4月25日(火)20:00〜  オンラインライブセミナー
               「なぜ今、文章なのか?」

Day2:4月26日(水)20:00〜  オンラインライブセミナー

               『なないろの記』発表会

Day3:4月27日(木) 10:00〜  Zoomセミナー

               カリキュラムと申込み詳細

写真:白河晃子