和洋の出逢い

ヘルッカセラミカ。
この言葉、なんだかフィンランド語みたい
そんなふうに感じました。
実は、笠間焼の向山釜さんの新シリーズの名前なのです。
へルッカセラミカの特徴は、薄くて、軽いこと。
もちろんひとつひとつ、手づくりです。
洋を装う和 和に寄り添う洋
このマグカップ あまりにも自然なたたずまいなのですが
考えてみたら、
笠間焼は、日本の焼きもので
マグカップは、西洋からきたものです。
それがこんなにも馴染んでいるなんて
もしかしたら、すごいことかもしれない、などと思うのです。
大げさかもしれませんが
それこそ「和」を尊ぶ、日本人の心がかたちになったもの
そんなふうにいえるかもしれません。

手にすると、とても軽くて驚きます。
そして、心地よい薄さと、硬質感。
表面は、布で言ったら麻のような
さらっとして、ごく濃やかなざらつきがあります。
これが陶磁器で、つるんと光っていたら
この「ぬくもり感」は、でないだろうな、と思います。
西洋人が震えた北斎ブルー
あまりにも有名な浮世絵師 葛飾北斎。
その独特の青い色は、西洋人に衝撃を与えました。

この作品などは、青色の濃淡が実に見事です。
どうしたら、このような青色を出せるのか・・・
あるいは、作風そのものも斬新で
印象派の画家は、それぞれがそれぞれのかたちに
取り入れていったのでした。
画家ばかりではありません。
思うに、その影響は陶磁器にも表れたはず。
フィンランドの夜空のごとく
たとえば、このカップ&ソーサー。

フィンランドのブランド「アラビア」の食器です。
たまたま入ったお店で見つけたのですが
この青に一瞬で魅了されて、すぐさま購入してしまいました。
このとき、確かにデジャヴのような感覚があったのです。
フィンランドの食器は好きだけど
この青は、もっと近くにあったような・・・・?
ほどなくわかりました。
そう、北斎ブルーです。
西洋が憧れた北斎ブルーに
今度は私が一目惚れしたかっこうです。
ただ、並べてみるとわかるのは
やはり向山釜さんのブルーのカップは
確かに、本家本元と言うべきか、「和」なんだな、ということ。
これは日本人だから、としか言いようのないものかと思います。
