常に真理は「当たり前」の中に
人というのは、目新しいこと、突飛なことに、つい引きつけられます。
でも、大切なこと、普遍的真理というのは、いつだって「普通のこと」「当たり前のこと」「既知のこと」の中にある。
それを、わかるようになった時、はじめて、人間に深みが備わります。
深みが備わるのは、経験を通して学んだためであり、また、学んだ知識が経験によって実感を伴うようになったためです。
私も様々なところで講師を務めさせていただきますが、近ごろの「セミナー講師」とやらは、ずいぶん突飛な話をする人も多いと感じます。
その一方で、92歳のお茶の先生からは、お稽古のたびに、ごく当たり前のことを教えられます。
その「当たり前」が、先生が仰ると、どれだけ深いことか知れません。
裏千家の千玄室大匠宗と同じ時代を生きて、同じ時代の茶道を徹底的に心身に染みこませたのが、今の私の先生です。
先生の存在そのものが、「本物とは何か」「真理とは何か」ということを教えてくれます。
私も、「当たり前のこと」をきちんと語る人になろうと、心から思うところです。
